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レッスル川柳掲載許諾番号21504お笑い等、ブレもありますがレッスルの話題がメイン。愛の軍団名「さばいばるだんす」当コンテンツの再利用(再転載、再配布など)は禁止しています。(c)2006 松永直己/SUCCESS


by siroichigoy

エンジェルカップ 闘京女子のあれから

闘京女子の応接室。
そこには主と元・龍刃道場の所属選手の3人の姿が。

元、というのはエンジェルカップ後の盛り上がりも冷めぬ中
龍刃道場が電撃的に団体を畳んでしまったのだ。
その一報を新聞発表で知った社長。
タッグリーグの活躍に加え、一つの技で
あそこまで観客を沸かせるパフォーマンスを見せた永原選手に
シングルでは勝利にこそあまり恵まれなかったものの
アイドルといううちにはうってつけの人材に加え
成長という面では一番の伸び代を見せたキューティー金井選手。
そして参戦していない為実力は未知数だが
この二人のセコンドについていた富沢選手も
アイドルレスラーとしてやっているという事で
是非にうちに欲しいとオファーを持ちかけ
今こうして面を向かわせている・・・のだが




社長「そうかー・・・。やっぱり意思は固い、・・・か。」

永原「・・・はい、誘って頂いたのはとっても嬉しいんですけど。」

富沢「ゴメンねー。社長さん。
    ちづるって一回決めたら頑固だから。」

金井「『ジャーマンで新女でのし上がってやるーっ!』って。
    で、寮ちょ・・・じゃなかった越後さんとまた組むんだ!って。」

社長「いや、いいねいいね。この世界
   それくらいの夢や意気込みがないと。
   その信念は自分自身の力に返ってくる。」

永原「社長さん・・・ありがとうございます!」

社長「それにその夢に付き合ってくれて共に歩んでくれる。
   富沢君も金井君もいい友人じゃないか。
   君の所の社長の言うとおりその信頼関係は
   いいタッグになると思うな。
   ウチとしては非常に惜しいが
   新女でも頑張ってくれ。」

3人「はい!勿論です。それじゃ失礼します!!」





闘京女子からの帰り道、富沢と金井が
永原に聞こえないようひそひそ話しをしている。

金井「んー。芸能方面にパイプのある闘京女子
   ちょっと私やレイちゃんには惜しかったかもねー。」

富沢「うわー。この薄情者めが。
    そんな事いうならアンタだけ
    オファー受ければ良かったじゃない。」

金井「ふ、ふぇぇぇん。レイちゃ~ん。
   そんな事言わないでよぉ。QT一人はいやだもん。」

富沢「ま、正直ちょっちだけ私も思ったけどね。
   あんだけ素材も良くてアイドル志望の娘が多いでしょ。
   美味い事私の世界にご一緒できれば、って思ったけど。」

金井「え~。レイちゃんの方が動機、不純じゃない。」

富沢「ま、新女にはEXリーグとか多団体との交流も色々あるし
   何度でもあう機会はあるでしょ。それに。」

金井「・・・それに?」

富沢「ちづるや美加を一人に出来ないじゃない。
   さっきの発言のようにまだまだあんたは一人立ちできないみたいだし
   ちづるはジャーマンの事になったらあとはなんにも見えなくなるんだから。」

金井「レイちゃん、何で一つ上から目線なの?」

永原「二人ともー。さっきから何コソコソ話してるのよ?
   ほら早く帰って新女へ行く準備しないと。
   新女のリングが、ジャーマンが待ってるんだからー。」





時を同じくして交渉後の闘京女子の事務所
応接室から出てきた社長。

社長「いやぁ。霧子君。友情や信念って
    やっぱりいいもの・・・って、また何を。」

そこにはレスラーが秘書にアイアンクローで吊り上げられている異様な風景が

真鍋「・・・ゴ、ゴメンナサイ・・・。」

社長「おい、つばさ。また真鍋がなんかやらかしたのか?」

その光景を恐れながら目にしていたつばさが
声を出さずコクコクと頷く。
百鬼夜行の真鍋はエンジェルカップ後
正式にオファーを取り次ぎ後々には団体選手としても視野に入れた
今はフリー参戦という形でうちのリングに上がってもらっている。
試合ではエンジェルカップでもいかんなく発揮した
小ずるくもどこか憎めないヒールらしさで人気を博してきているが
事務所やジムではこのプチトラブルメーカーとして
皆から微笑ましくも呆れられて、そしてたまにこのようにお仕置きを
(主に霧子さんやミミさんから)受けている

霧子「あ、社長、やっぱり駄目でしたか。」

社長「・・・あ、ああ。本人達の意志は固かったよ。」

真鍋「・・・あ、あらま・・・割れる・・・。(ガク)」

つばさ「霧子さん!!つかさが泡吹いてる!死んじゃう~!!」

社長「わわ!霧子くん!流石にマズイ!!」

つばさの涙の懇願でなんとか許して貰った真鍋。
そのつばさ、エンジェルカップ後はファイトスタイルを
無理に大人ぶることはやめた模様、またちょくちょく
このエンジェルカップで一緒になった選手達に合いに行ってるようで
そこからか小さいなりの戦い方というものを学んできている。
戦績もそこから良くなってきてまさに一皮向けてきている。
・・・私生活ではつかさの影響か
振り回されてこちらでも子供じみた感が否めないのは残念だが(笑)

真鍋もなんとか意識を取り戻し、ジムへと足を運んだ社長。
リングでは内田と上戸が恒例の言い争いをしている。

社長「またやってるのか・・・。今日はなんだ?」

上戸「ああ社長、内田の奴がよー。ケース練習ケース練習って
   うるせーんだよぉ。もっと実戦的にやった方がいいって言ってんのによぉ。」

内田「何言ってるのよ?貴女の為を思って言ってるのよ。
    貴女不器用なんだからあらゆるケースを常に
    想定して練習しないと対応できないでしょう?」

上戸「良く言うぜ。そんなんだから自分こそ頭の中にない
   相手の突発的な動きに瞬時に対応できねーじゃねーか。」

内田「・・・だからこそのその可能性を一つでも潰すための練習じゃない?」

社長「本当にお前ら・・・。」

内田・上戸「何です?(何だ?)」

社長「ケンカするほど何とやら・・・だな。」

内田・上戸「まさか!?」

このように練習ではこんなようにあいかわらず
ぶつかりあう事の多い二人ではあるが
いざ試合となるとピタリと息が合うようになってきているから
相性というものはわからない。

視線を変えた先には小縞が
マシントレーニングに勤しんでる。

小縞「あ、社長。お疲れさまです。」

バタフライに取り組みながら小縞が気づいて挨拶をする。

社長「おー、頑張ってるなー。」

小縞「はい!智美に負けてられませんからね!
   ・・・ほら、あっちに。」

小縞の視線の先には渡辺もマシントレーニングに励んでいた。

社長「渡辺、お前が一番変わったなー・・・。
   前は黙々とこーいうトレーニング
   『地味-。』の一言で進んでやらなかったのにな。」

レッグプレスに奮戦しながら渡辺が口を開く。

渡辺「まー、エンジェルカップであんだけ注目浴びたじゃない?
   こりゃ普段も無様な姿あまり見せらんないじゃない?それに」

社長「それに、何だ?」

渡辺「決勝であんなの見せ付けられたら燃えるじゃない?
   あそこまでは無理でもさー。それにはやっぱバネは鍛えないとね。
   まだまだ、アタシの進化は止まんないよ!」

大会前は小縞が引っ張っていく感じだった二人の関係だったが
今や試合でももちろんパフォーマンスでもお互い切磋琢磨しあう
以前以上の良い関係を築きあげていっている。



自分にあったファイトスタイル。
普段は言い合いつつも心では繋がっているパートナー。
刺激を貰える親友。
勝利することへの喜び。
多団体との選手との戦いでの経験を通じ
優勝こそできなかったが
皆それよりも大事な物を手に入れてくれた
それだけでも大きな収穫であった。と。
社長は誰に聞こえる事無くつぶやいた。

社長「全く・・・これはあのプロモーター「H」さんには頭が上がらないな。」
by siroichigoy | 2010-09-20 23:21 | レッスル・企画物