渡辺智美のモノガタリ 第1話
2010年 10月 01日
「はぁぁ~~~・・・。」
オフィスビルらしき建物から出てくるや否や
大きくため息をついて項垂れる少女が一人。
「・・・やっぱ、落ちたよねぇ、ありゃ。
結果なんて待つまでもなく。」
彼女の名前は渡辺智美。
生まれも育ちも香川育ちの
3度の食事よりもダンス、そして目立つ事が
なによりも大好き、という点を除いては
どこにでもいる様なイマドキの中学3年生である。
その彼女、芸能事務所で大々的に売り出すミュージシャンにつく
バックダンサーのオーディションをうけるべく
はるばる大阪までやって来ていたのであった。
「大体、見る目がないのか、先見の目・・・だっけ?
それがないのよねー。最近の審査員。
どこに行ってもおんなじ理由言っちゃって。」
彼女、こういったバックダンサーオーディションに
今回以外にも数回応募しておりいずれも書類、PV審査等の
一次審査は全て通っているのだが
いずれも二次以降の、対面審査で落とされており
その理由が
「君自体は悪くない、いや、いい物は持っていると思う。
ただ、これはバックダンサーのオーディションなんだ。
それを考えるとね・・・ちょっと前面に出てきすぎるんだよね。
メインを喰うほどではないにしろ、それではちょっとバックダンサーとしては・・・ね。」
「資質認めてくれてんだったら、別にバックダンサーで拘らず
個別に手を打ってくれてもいいじゃない。資質に加えこんなに可愛いのにさ。」
あまりにも行く先行く先で同じ理由を言われるので
ついついカチンと来た彼女。審査員とついつい言い争ってしまったのだ。
「とはいえ、ソロで踊って歌うってのはないしね~。かといって。」
それならと普段供にしている
ダンス友達等を共に夢に誘うも
「ゴメーン。やっぱ高校くらいは出ておきたいしさ~。」
「私智美みたいにそこまで上手くないし・・・そこまで踏み込む勇気がないよ~。」
「う~ん。ダンスは好きだけど、これで食べて行こうとは思ってないんだよね~。」
と、どうやら好きではあるが思い入れ自体には開きがあった模様。
やはり仕事にするともなると人の人生が関わってくる訳で
それを無理強いするわけにも行かず断念。
「ん~。タイミング的にも今回が最後だよね。
あ~・・・。とりあえずは普通に高校生活かぁ・・・。」
などととぼとぼ地元へ戻るべく足を運んでいる最中
大きな人だかりが目に付いた。
「ん?なになに、この人だかり?」
そこは府立の体育館。入り口前の掲示板のポスターに
その人ごみの原因がわかった。
「女子プロレス『闘姫伝』大阪本格上陸記念興行?
ああ、なんか名前はクラスの男子が言ってたのは聞いた事あるかも。」
『闘姫伝』
福岡に本拠地を置く女子プロレス団体。
設立8年と歴史は浅いが、ここ数年で勢いをつけてきている団体で
最近では「東の新女、西の闘姫」とまで言われ始めている団体。
最近になって、興行を本格的な全国展開を行うに当たって
事務所を福岡から大阪に移転し、その記念興行が今回の興行に当たった訳だ。
「あれ、この人ってこの前オリコンでチャート一位になってた人じゃない?
プロレスラーだったんだ・・・。って、え?この娘ってグラビアアイドルじゃなかったの!?
それにこの娘もバラエティー番組で見た事あるし、こっちの人はCMに出てたような・・・。
・・・へ、へ~・・・。そんなに女子プロレスって影響力あるんだ・・・。」
彼女が女子プロレスの、この団体の人気に
目を丸くして驚いていたその数時間後
その驚愕の元となった団体、闘姫伝の事務所にて・・・。
「社長―。社長―。」
「・・・ん?何だ。スカウトの神城くんじゃないか?
何かいい情報でも入ったか?」
「ええ、提携先の芸能事務所から連絡ありましたよ。
バックダンサーオーディション受けに来た中で
あちらでは不合格らしいんですが
いいアイドルレスラー向きの娘がいるって連絡がありましてね・・・。」
オフィスビルらしき建物から出てくるや否や
大きくため息をついて項垂れる少女が一人。
「・・・やっぱ、落ちたよねぇ、ありゃ。
結果なんて待つまでもなく。」
彼女の名前は渡辺智美。
生まれも育ちも香川育ちの
3度の食事よりもダンス、そして目立つ事が
なによりも大好き、という点を除いては
どこにでもいる様なイマドキの中学3年生である。
その彼女、芸能事務所で大々的に売り出すミュージシャンにつく
バックダンサーのオーディションをうけるべく
はるばる大阪までやって来ていたのであった。
「大体、見る目がないのか、先見の目・・・だっけ?
それがないのよねー。最近の審査員。
どこに行ってもおんなじ理由言っちゃって。」
彼女、こういったバックダンサーオーディションに
今回以外にも数回応募しておりいずれも書類、PV審査等の
一次審査は全て通っているのだが
いずれも二次以降の、対面審査で落とされており
その理由が
「君自体は悪くない、いや、いい物は持っていると思う。
ただ、これはバックダンサーのオーディションなんだ。
それを考えるとね・・・ちょっと前面に出てきすぎるんだよね。
メインを喰うほどではないにしろ、それではちょっとバックダンサーとしては・・・ね。」
「資質認めてくれてんだったら、別にバックダンサーで拘らず
個別に手を打ってくれてもいいじゃない。資質に加えこんなに可愛いのにさ。」
あまりにも行く先行く先で同じ理由を言われるので
ついついカチンと来た彼女。審査員とついつい言い争ってしまったのだ。
「とはいえ、ソロで踊って歌うってのはないしね~。かといって。」
それならと普段供にしている
ダンス友達等を共に夢に誘うも
「ゴメーン。やっぱ高校くらいは出ておきたいしさ~。」
「私智美みたいにそこまで上手くないし・・・そこまで踏み込む勇気がないよ~。」
「う~ん。ダンスは好きだけど、これで食べて行こうとは思ってないんだよね~。」
と、どうやら好きではあるが思い入れ自体には開きがあった模様。
やはり仕事にするともなると人の人生が関わってくる訳で
それを無理強いするわけにも行かず断念。
「ん~。タイミング的にも今回が最後だよね。
あ~・・・。とりあえずは普通に高校生活かぁ・・・。」
などととぼとぼ地元へ戻るべく足を運んでいる最中
大きな人だかりが目に付いた。
「ん?なになに、この人だかり?」
そこは府立の体育館。入り口前の掲示板のポスターに
その人ごみの原因がわかった。
「女子プロレス『闘姫伝』大阪本格上陸記念興行?
ああ、なんか名前はクラスの男子が言ってたのは聞いた事あるかも。」
『闘姫伝』
福岡に本拠地を置く女子プロレス団体。
設立8年と歴史は浅いが、ここ数年で勢いをつけてきている団体で
最近では「東の新女、西の闘姫」とまで言われ始めている団体。
最近になって、興行を本格的な全国展開を行うに当たって
事務所を福岡から大阪に移転し、その記念興行が今回の興行に当たった訳だ。
「あれ、この人ってこの前オリコンでチャート一位になってた人じゃない?
プロレスラーだったんだ・・・。って、え?この娘ってグラビアアイドルじゃなかったの!?
それにこの娘もバラエティー番組で見た事あるし、こっちの人はCMに出てたような・・・。
・・・へ、へ~・・・。そんなに女子プロレスって影響力あるんだ・・・。」
彼女が女子プロレスの、この団体の人気に
目を丸くして驚いていたその数時間後
その驚愕の元となった団体、闘姫伝の事務所にて・・・。
「社長―。社長―。」
「・・・ん?何だ。スカウトの神城くんじゃないか?
何かいい情報でも入ったか?」
「ええ、提携先の芸能事務所から連絡ありましたよ。
バックダンサーオーディション受けに来た中で
あちらでは不合格らしいんですが
いいアイドルレスラー向きの娘がいるって連絡がありましてね・・・。」
by siroichigoy
| 2010-10-01 02:37
| 渡辺SS